幸せになりたい。そのために、何をすればいいのか。
政治も、経済も、科学も医学も、人間の営みは幸せになるためにあります。では、その善い運命は、どんな原因から来るのか。
いちばん知りたい因果
森羅万象の因果のなかで、ブッダが最も詳しく教えたのは、運命の因果でした。それこそ、私たちの最大の関心事だからです。
ブッダは、運命を生み出す原因は行為だ、と説いています。以下、この章ではパーリ語の仏典に伝えられる言葉を、現代の訳で聞きます。
世の中は行為によって成り立ち、人々は行為によって成り立つ。
『スッタニパータ』の一節です。賢者は、行為とその報いを、あるがままに見る人だ、とも説かれています。
世界は、行為で成り立つ
行為と報いの関係は、単純です。善い行いをすれば、幸福や喜びという善い結果が現れる。悪い行為は、不幸や悲しみを引き起こす。
これを善因善果(ぜんいんぜんか)・悪因悪果(あくいんあっか)といいます。

播いた種に応じて、果実を収穫する。善い行いをした人は良い報いを得、悪い行いをした人は悪い報いを得る。
『サンユッタ・ニカーヤ』の言葉です。
三つの言葉
善いのも悪いのも、自分の運命は自分の行為が生み出したものです。これを自因自果(じいんじか)、あるいは自業自得(じごうじとく)といいます。
業(ごう)とは、行いのことです。
善因善果。善い行為をまけば、善い結果が現れます。
悪因悪果。悪い行為をまけば、苦しい結果が現れます。
自因自果。自分のまいた行為の結果は、自分に現れます。
錆は、鉄自身を損なう
『ダンマパダ』は、こう告げます。みずから悪をなすならば、自分が汚れる。みずから悪をなさなければ、自分が清まる。
鉄から生じた錆が、鉄自身を損なうように、悪をなした人を、自分の業が苦しいところへ導く。
誰かのせいで人生が決まるのではありません。あなたの手が、今日まいたものが、あなたの運命の材料です。大きな善である必要はありません。
一つの約束、一つのやさしい言葉。それも、確かな種です。

幸せになりたかったら、幸せの種をまく。ブッダの答えは、驚くほどまっすぐです。結果を操作する技術ではなく、行為そのものを整える道です。
