法相宗の「教相」「法相」「観心」の三門

法相宗の主要な3つの教え(三門)を、説明します。

  1. 教相門
  2. 法相門
  3. 観心門

教相門(きょうそうもん)

教相門は、釈迦牟尼仏の一代にわたる教え(說教)を体系的に分類します。

それによって、

  • お釈迦様の教えを体系的に整理し、
  • 法相宗の教えが他の宗派より優れていること示す

ことを目指します。

いわゆる「教相判釈」です。

教相判釈とは

簡潔に言えば、「仏教の教えを分類・整理して理解する方法」です。略して「教相」とか「教摂」友いわれます。

お釈迦様が説かれた全ての経典の教えについて、その形式や説法の方法、教義の内容などに基づいて分類し、体系化を行うものです。

これによって、仏の説法の真意がどこにあるのかを明らかにし、仏教学問の体系の中で明確に位置づけます。

すべての宗派で、教相判釈が立てられており、天台宗は「五時八教」です。

法相門(ほっそうもん)

法相門は、「四重出体」という概念の中で、実体と現象を区別して考える方法(「性相別論」)に基づいて、この世界にある無数の物事や現象を理論的に説明します。

四重出体

「四重出体」(しじゅうしゅったい)は、修行者が、仏教の目的である涅槃までに到達すべき四つの段階や状態を指します。

  1. 須陀洹(しゅだもん):最初の段階。初めて聖者の道を歩み始める。
  2. 一来(いちらい):この段階の者は、一度の転生を経て、次には絶対の解脱に至る。
  3. 不還(ふげん) – この段階の者は、次第に高い次元での解脱に向かう。
  4. 阿羅漢(あらかん) – 完全なる解脱と悟りを得た状態。

上座部仏教でも重要とされる考え方です。

観心門(かんじんもん)

「四重出体」の「攝境従心門」に基づき、実践的な修行方法を教えたものです。

すべては心が作り出したもの(唯識無境)という教えに基づき、二つの障害「煩悩障」と「所知障」を取り除きます。

煩悩障は、欲や怒りなどの感情的な迷いであり、所知障は、物事の本質を誤って理解してしまう知的な迷いです。

2つの障害を断じることで、最終的には涅槃といった究極の解脱の状態に到達する方法を論じています。

特徴的な点

天台宗では、「教」と「観」の2つの門だけなのに対し、法相宗は上記3つの門を持ちます。

法相門は、天台宗の教義を理解する上でも、とても参考になる教えとなっています。

続きはこちら。

あわせて読みたい
すべての現象は心から生じる「攝境従心」 「攝境従心」の論法と、「性相別論」の法式の違いを説明します。 攝境従心(しょうきょうじゅうしん) 「攝境従心」とは、「すべての現象(境界)は心から生じる」とい...
  • URLをコピーしました!
目次