法相宗判教の典拠

法相宗(唯識)の教判は、お釈迦様の言葉である仏説が直接記された経典、特に『解深密経』に基づいています。

勝義生菩薩、復た仏に白して言わく、『世尊、初めに一時、波羅奈斯の仙人堕処施鹿林中に於いて』等々、『世尊、在昔の第二時中に、唯だ大乗を発趣修する者の為に』等々、乃至『世尊、今の第三時中に於いて、普く一切乗を発趣する者の為に』云々
(勝義生菩薩復白佛言世尊初於一時在波羅宛斯仙人堕處施鹿林中等空々世尊在昔第二時中、惟為發趣修大乘者等乃至世尊於今第三時中普為發趣一切乘著奪云々。

引用:『解深密經(二十六)』
  1. 「初」(はじめ):波羅奈斯(バラナシ)の鹿林での説法
  2. 「在昔」(かつて):大乗の教えを求める人々への説法
  3. 「今」(いま):あらゆる人々への説法

ここから、仏教の教えが三期に分かれることを示し、法相宗の三時教判が立てられます。

お釈迦様の説法を時期的に3つに分けて説明しています。

  • 第一期:有教(うきょう)
    • 「存在がある」という教え
  • 第二期:空教(くうきょう)
    • 「すべては空である」という教え
  • 第三期:中道教(ちゅうどうきょう)
    • 「有でも空でもない中道」という教え
  • URLをコピーしました!
目次