投稿一覧
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法華経と念仏の密接な関係
天台宗の開祖である天台大師(智顗)が著した『摩訶止観』という重要な書物があります。 これは法華経の教えを実際に実践し、悟りを得るための修行方法を詳しく説明したものです。 天台大師の和讃には、次のような言葉があります。 「法華を人に知らせむと... -
念仏の元祖は伝教大師?最澄と「南無阿弥陀仏」の意外な関係
「南無阿弥陀仏」と称える念仏。 念仏といえば、鎌倉時代に浄土宗を開いた法然や、浄土真宗の親鸞が有名でしょう。 もちろん、彼らが念仏の教えを民衆に広めた偉大な方々であることは間違いありません。 しかしその念仏の源流は、「最澄」にあったというこ... -
結縁授戒とは?仏様との縁結び
当山が属する天台宗の天台座主猊下(てんだいざすげいか)は、ご高齢でいらっしゃるにもかかわらず、大法を広く伝え、国家を守護するという思召しにより、順次全国を回ってご親教なさっておられます。 これは誠に身命を惜しまない修行であり、私たちも身を... -
「戒体」と「三聚浄戒」の意味
「修行」や「戒律」と聞くと、「滝に打たれる」「断食をする」「あれもダメ、これもダメ…」というストイックで、自分を厳しく縛るもの、というイメージが強いかもしれません。 しかし「戒律」は、自分を縛るどころか、むしろ内に眠る可能性を解放してくれ... -
円頓戒の58戒がなぜ250戒より優れているのか
平安時代初期、伝教大師最澄が提唱した「円頓戒」は、当時の仏教界に大きな衝撃を与えました。 従来の小乗戒250戒に対して、わずか58戒しかない円頓戒。 「そんな少ない戒律で本当に僧侶としての修行ができるのか?」という批判が当時から絶えませんでした... -
伝教大師最澄が中国で学んだ「円頓戒」とは? 日本仏教史上最大の戒律論争を理解する
「仏教の戒律」と聞くと、なんだか難しくて厳しいルールのように感じてしまいます。 「お肉を食べてはいけない」「お酒を飲んではいけない」…そんなイメージが強いかもしれません。 しかし、日本の天台宗を開いた最澄が伝えた「円頓戒(えんどんかい)」は... -
物質でもなく心でもない不相應行法について
「不相應行法」とは、色法(物質的な現象)にも心法(精神的な現象)にも、どちらにも直接には当てはまらない、24種類の分類のことです。 これらは、物質や心といった実体として存在するものではなく、あくまでも概念です。 五位百法のうちの1つのカテゴリ... -
伝教大師の悲願:円頓戒確立への道
伝教大師(最澄)が日本に帰国された翌年、延暦25年(806年)の1月26日に、天台宗の僧侶も国家公認の僧侶(年度者)となる勅許が下りました。 しかし、僧侶が守るべき根本である戒律制度が改められない限り、天台宗の僧侶であっても、依然として奈良の南都... -
六根のうち「意根」の三つの意味
今回は、意根の意味について詳しく取り上げてみます。 意根の三つの解釈 意根には大きく分けて以下の三つの解釈が存在します。 ① 前滅の意を意根という場合 (無間滅の意根:等無間縁) この解釈は、意根を 「前の瞬間に消滅した意識(意)」 と捉えるもの... -
五位百法の「色法」の五根六境:私たちが見えている世界について
今回は、私たちの周りの世界について、基本的な概念である「色法」と「五境」をもとにわかりやすく解説します。 色法とは? 五位百法として分類される「色法」とは、私たちが目で見て、耳で聞いて、鼻で嗅いで、舌で味わい、体で感じる、すべての物質的な...